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2023.1/8「影」

  • 執筆者の写真: ろばすけ
    ろばすけ
  • 2023年1月8日
  • 読了時間: 1分

更新日:2023年1月21日


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 例えば僕の何かが何かに残るとして、どんな「形」だったらいいかってことを時々考える。そう言ったら彼は目を丸くした。

「何かが何かに、って?」

「わかりやすいのは、記憶が君の中に残って、単に思い出すのか、幽霊みたいに「見える」か、声が聞こえるとか」

「君を忘れたりしないから普通に思い出すよ」

 彼はそう言ったけれども、顔ははっきりと困惑していた。だから僕は返した。

「幽霊は見たくない?」

「それはそうだろ?」

 そう問われて僕はとりあえず頷いたけど、いかにも「とりあえず」って様子に見えたかもしれない。

 ほんとうは僕は幽霊は大歓迎だし、たまに見ることもあるから。

「思い出でも幽霊でもなくて、君の何かが何かに残るって話?」

 彼は僕の反応を見てますます怪訝そうな顔でそう問い、僕は答えた。

「わかりやすく言うなら、僕が植えた植物がずっとこの家の庭で育っていく、とか」

「何かに影響を与えたいって話?」

「影響」。そんな言葉を彼が選んだことが面白くて、僕はちょっと考えて、それから頷いて返した。

 本当は僕が夢想していたのは、僕らがピクニックをした公園の木の影がうっすら僕の形をしているとか、隣の家の塀に茂っている蔦が彼の形をしているとか、そんなようなことだったんだけど。でもそれを言葉で説明するのは、とても難しいことだ。 




*スケッチ

(アナイアレイション)


https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/ILVFbZFfZp0

 
 
 

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