20230211「カフェラテ」アイニル
- ろばすけ

- 2023年2月11日
- 読了時間: 2分
これもアンケートのあれ
任務の合間だった。僕らは打ち合わせのためにカフェに入った。
そこまではまあ、初めてのことってわけじゃなかったんだ。けど。
「ラテ2つ」
アイヴスは、やってきたウェイトレスに当たり前の顔でそう言った。
僕は驚いてちらっと彼を見てしまった。
「? 違うのが良かったか?」
驚いたのは僕の方のはずだったのに、問い返してきた顔もちょっと驚いた表情に見えた。
「いや。大丈夫。ありがとう」
お互いに驚いてお互いの顔を見てるなんて。
僕がなんでもない顔で返すのに失敗して思わず笑ったら、彼は思いっきり困った顔をした。
変なやつだな、みたいな顔をされるのには慣れてるんだけど。
「いつも飲んでるから」
アイヴスはそのとき、まるで言い訳するみたいにそう言ったんだ。
それは、いつも部下たちに恐れられているぶっきらぼうな声とはぜんぜん違っていて、なんだか不思議で。
それで僕はつい、返してしまった。
「君こそいつもはブラックなのに」
それもたぶん、彼のオーダーと同じくらい彼を驚かせた一言だったらしい。
「なんで」
なんでそんなこと知ってるんだ?
そう言いたかったんだって伝わったから、僕はまたちょっと笑った。
その「なんで」っていうのは、「なんで俺がいつも何を飲んでるか知ってるんだ?」って意味かな。
それはたぶん、「君が僕の「いつものオーダー」を知ってた理由」や、「今日はいつもと違ってラテって言ってみた理由」と同じなんじゃないかと、僕はちょっと思ってるんだけど。
違う?
僕らは、お互いに今まで隠したつもりできた視線や感情のやり取りについて、そろそろもう少し素直になってもいい、ころ合いかも知れないよね。
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