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20230226「最低の男」

  • 執筆者の写真: ろばすけ
    ろばすけ
  • 2023年2月25日
  • 読了時間: 2分

彼は傲慢な男だった。

世界は自分の思い通りになると思っていた。

でもしかたない。実際とても優秀で、最高に魅力的だったから。


そして僕のことを、彼は自分の思い通りにならなかったから気に入っていたんだと思う。

僕はそれでよかった。

彼は愛されることに慣れきっていて、憎み憎まれることで初めて、僕を特別な存在だと認めたのだと思うから。


僕にとっては、自分が彼の家族をばらばらにしたのだという罪悪感より、

僕のために彼はそれを「壊した」のだという優越感の方がずっと勝っていた。


そう、僕は実際、そういう身勝手な人間だ。

そう自覚し、彼の娘たちに「最低のクソ男」と罵られる方がずっとわかりやすくてよかったのだ。


実際は、僕らの関係がいったいなんだったのか、彼にも最後までわからないままだったと思う。彼は僕を何度となく拒絶し、そして、最後には抱きしめて涙を流した。

僕らは恋人であり敵であり、お互いに加害者で被害者だった。同時にそのすべてであり、でも実際はそんな言葉では説明がつかない。


僕もまた、僕の最後の日までずっと、彼との関係を考え続けるだろう。

それでもきっと、はっきりとした言葉にすることなんかできないまま終わるだろう。

でも、きっとそれが僕らにとって似合いの「終わり」なのだと思う。




(すべてうまくいきますように)


娘たちにクソ男って言われてた愛人の方が気になった。


 
 
 

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