20230301 「メリーゴーランド」ラスアス エリー
- ろばすけ

- 2023年3月1日
- 読了時間: 1分
動く階段も、馬やきれいな馬車がぐるぐる回りながら光る遊具も。
あたしは見たことないって思ってるでしょ?
そうだよね、車に乗ったのもこの間が初めてだったんだから。
でも本当は知ってる。
写真を撮ってくれる箱も、たくさんのゲーム機が並んでる店もね。
でも別に懐かしくはない。
あなたが思うようには。
それはむしろ、ずっとしまっておきたい記憶なんだ。
忘れてしまいたいっていうのとも違う。そんなことはできないってわかってる。
でもまっすぐ見るにはまぶしすぎて、痛すぎて、悲しすぎるから。
だからそうっとしまっておいて、時々そっとその場所を撫でることにしてる。
あんなにも、「このままずっと朝が来なければいい」そう思った夜はなかった。
もし時間が戻せるなら、わたしはあの、きらきらした、驚きと笑いに満ちてた時間に帰りたい。
そしてずっと自分自身で否定して、忘れようとしていた「思い」が、自分だけのものじゃないと知った、あの瞬間をもう一度味わいたい。
そして。そこで時を止めてしまいたい。
もちろんそんなことはできないってわかってる。
だからこそ、私はこうして、ジョエルと旅をしてる。
いつか。この記憶と後悔の堂々巡りから抜け出せるように。




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