20230311 「旅」
- ろばすけ

- 2023年3月11日
- 読了時間: 1分
外国に行けば何もかも変われるような気がしてた。 でも本当は、すぐにそうじゃないって気づいてた。気づいていたのに気づかないふりをしたんだ。
知らない人たちに囲まれて、彼らの仲間になれたら、って思って努力してきたけど。
こんなことしてなにになるの?って疲れた私が言うのと裏腹に、これを乗り越えなきゃ来た意味がないって打ち消す私もいる。 たぶんどちらも正しい。
旅の目的地について、途中いろんな人に話したけど、誰も知らなかった。 あの小さな世界では当然のように「価値あるもの」だった遺跡も、少し視野を変えたら、まるで違うものに見える。
「とりあえず行けるとこまで行ったらいいさ」
私の迷いなんか何も知らずに、煙草をふかしながら、彼がなにげない調子でそう言った。
あんたになにがわかんのよ。
そう言ってやりたい私と、そうだね、って思ってる私がいた。
思い付いて窓を開けたら、凍りつくような外気と氷の欠片が顔にぶつかってきた。ウォッカの酔いから少しだけ我に返って、私は少しだけ、こっそり笑った。
コンパートメントNo6
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