Gaze 2: RH展示 20230503 ②
- ろばすけ

- 2023年5月2日
- 読了時間: 3分
tst さん(@Blind_mrj)が描かれたイラストのイメージで書かせていただきました。 「その前後」を想像したくなる作品を描かれて素敵なのです✨
全然想定と違うことになってしまっていたりしたら申し訳ない…と思いつつご連絡させていただいたのですが、展示ご快諾いただきましてありがとうございます!下線引いてあるところから元の投稿にリンクしています。
「なに?」
俺の視線に気づいたジェイクが、ぼんやりとどこかを見ていた視線をこっちに向けてきた。
「いや、」
ちょっとだけ焦ったのはどうにか隠そうとしながら俺は思わず言葉を飲み込んだけど。
「まだ寝てんのかと思ってたのに。何か言いたいことでも?」
「……いや。…というかうん、まあ」
「どっちだよ」
曖昧な物言いを嫌うジェイクは、そう言ってちょっと呆れたように笑って、それから促すように俺を見た。
さて困ったな。
休日の朝だ。
外はひどい雨で、いつもなら休みだろうと早起きしてランニングに出かけていく彼も、さすがに取りやめにしたらしい。部屋の中は暖かく快適だけど、わざわざ冷たい雨の中に出ていくほど酔狂じゃないってこと。
……というか、たぶんこれは、最近の彼の変わったところだ。
ルーティンを守ることに頑なになっていたところが、かつての彼にはあったと思う。
でも最近は適度に自分を甘やかすことを覚えたんじゃないかと、俺は思っている。
そしてそれはたぶん俺と暮らすようになってからじゃないかとも。
言ったら怒りそうだから言わないけど、完全な勘違いってことでもないはずだ。
ただのんびりベッドでごろごろする朝があったっていい。今日はせっかく一緒にいられる休日なんだし。そうだよな。
さっきまで俺が盗み見ていた彼の横顔は、完璧なシルエットで、雨のせいで薄暗い寝室の、グレイッシュな空気にしっくりと馴染み、まるで映画の1シーンを見ているみたいだった。
もちろんきれいな男だってことは最初からよく知ってて、俺が好きなのは彼の外見だけじゃないけど。
いったん起きて何かしてたけど、ベッドに戻ってきたんだということはわかってた。俺はその気配で目を覚ましたから。
寝るときに着ているルーズなハーフパンツとタンクトップの不埒な隙間にどうしても目をやりたくなった。そこには俺が昨晩残したキスのあとが残っていた。
しっかりと鍛えた腕も、横から見るとなおさら強調される胸筋のラインも、エース・アビエイターらしい逞しさなのに、ぼんやりと宙を見ているようなまなざしは柔らかくて、完璧な顔立ちの美しさを強調しているというか、どこか絵画かなにかのように思わせた。
このまま取っておきたい、みたいなことを俺は思っていたのかもしれない。
写真に撮るとか、そういう形で。普段なにげなく撮っている気楽なセルフィーとかとは違って、俺の視線の熱まで籠るような「作品」として。まあそんなの撮る腕はそもそもないから、目に焼き付けるしかないんだけど。
そしたら気づかれた。それが今の顛末だ。
俺がどんな目で見てたか、彼が気づかないわけがない。
「取っておきたいな、って思ったんだよ」
俺はどうにかそう言った。上手く言葉にできる気がしなかったけど。正直どんな顔されるのか心配だったけど。
「なにを?」
彼は不思議そうな顔でそう問い返してきたから、俺はそのまま返した。
「今俺が見てた姿そのまま」
「俺?」
「うん」
「……着古しの部屋着……というかほぼ下着だけど」
「うん」
それでいい、っていうか、それがいい。俺しか知らない姿だし、それでもやっぱりおまえはきれいだし。
そう思ったのは、言葉にしなくても伝わったのか。
「?」
いきなりぺたって頬に触れられて、俺は目を丸くした。
「なに?」
気を悪くしたとかでもなさそうで、俺はそう問い返すしかなく。
でも、そしたら、彼は言ったわけだ。
「……まあわかる。俺もたまに思う」
え?
目を丸くした俺を見て、彼はにやりと笑った。



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