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2023.1/15 「You Look Good (Reprise)」#RH

  • 執筆者の写真: ろばすけ
    ろばすけ
  • 2023年1月15日
  • 読了時間: 1分

更新日:2023年1月24日


新刊 Take Your Breath Away 3の、お初の話(書下ろし)の一部です


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「、もう、いいかげんに」

 ジェイクが思わずそう言ったとき、ブラッドリーは反り返った彼の勃起を舌先で舐めあげながら、指先をその奥の狭間に滑らせていた。

 最初の行為が欲望に任せた性急なものになるのはいつものことだった。

 押し倒し、服を脱ぎ捨て、目の前にある体をある意味「使って」、射精の快感を追いかける。

 けれどもそれが一度果たされてしまうと、「その先」はいつも少しだけ、色を変えた。

 彼らがどこか「安全」な場所を確保したとき、行為が一度で終わらないのは当然だった。

 時間を合わせられる機会はそうそうなく、たいがいは短いものだったが、次がいつになるかもわからない一方で、若さを持て余しているのも事実だったので。


「今日は「汚いからさわるな」って言わないの?」

 そう問われたジェイクが思わず見下ろすと、再びはち切れそうな様子になっているペニスのすぐ横で、自分を見上げている顔がかすかに笑っているのが目に入って、ジェイクは思わずシーツを握った手に力を込めた。

 そうしている間にも、指先は入り口をゆっくりと撫でている。

 唾液なのか先走りなのか、たぶん両方混ざったものがそこを濡らしていて、太い指はからかうように先端を潜り込ませようとしてくる。

 ジェイクは言葉を返そうとして、唇を噛んだ。


 あの薄暗く肌寒かったシャワールーム以降、ジェイクが寮の部屋の狭いシャワーブースで忙しなく「済ます」時に思い浮かべるのはブラッドリーの手になってしまっていた。そして体の奥を探ってきたあの太い指の感触が、時折何の脈絡もなく脳裏に浮かんできて、彼をひどく動揺させた。

 ジェイクはそのたびに、その時々のガールフレンドを呼び出して甘い夜を過ごそうとした。彼にとってのセックスは、もちろん相手の好みを聞きながらであっても、迷う余地などなにもなかった。女性の柔らかい体を抱きしめ、濡れたあたたかい場所に自身を埋め込む安心感に没頭すれば、すべて忘れられるはずだった。

 それでも彼は気づけばまた、いつの間にか、授業や演習で顔を合わせるブラッドリーを見てしまっていたのだ。どうしようもなく。


「なんだよ、どうした?」

 答えないジェイクの表情を見て、ブラッドリーはちらりと眉をひそめてそう問い返した。

『俺は無理やり何かしようとする気はないから』

 何度目かの時にブラッドリーはそう言った。お互いに割り切ってやりたい時にやりたい事をやるだけ。ジェイクはそう理解して頷いて返した。

 そして実際、今まで何かを強要されたことはないししてもいない。

 むしろ望んでるのは自分のほうだ。

 そうわかっていて、それは彼のプライドをひどく傷つけたけれども、彼にとっては新鮮な体験だったというのも事実だった。

 けれど。


「……今日は、汚くない」

「?」

 ジェイクが辛うじて返した言葉に、ブラッドリーは最初大きな疑問符の浮かんだ表情で返して、そして一拍遅れて息をのんだ。

「準備してきた?」

「、だって、おまえいつもそこ」

 触るから。そう続けようとした言葉は発せないまま飲み込まれた。ふいに淫蕩な笑みを浮かべたブラッドリーがのしかかってきて彼の顔を覗き込んだからだ。

「調べたの?」

 その問いかけと同時に指先がそこに押し込まれてきて、慣れた様子で狭間を探ってきて、ジェイクは震えあがって息をのんだ。

「勉強熱心だな」

 生々しい感触にとっさに顔をそむけたジェイクは、眉をきつく寄せ、間近な視線を強烈に意識しながら返した。

「、って。実際そままじゃ汚いし、怪我したくない」

「セレシン君はいつも正しいよ」

 ブラッドリーはそう、どこか楽しげに言うと、いったんベッドを降り、自分が脱ぎ捨てた服のポケットを探った。

 ジェイクは戻ってきた彼が手にしたチューブに視線を向けて問い返した。

「……入れる?」

「いけそうなら? 初めてのやつとしたことないから、無理はしない、けど、いやだと思ったら言って」



「は、あ」

「そんな緊張してたらなにもできない」

 改めて膝をついたジェイクの背後からのしかかるようにして、ブラッドリーはたっぷりとローションをまとわせた指を二本そこへ差し入れていた。

 どうしても仰向けは嫌だと抵抗したのはジェイクだった。ブラッドリーは枕にしがみついた彼の表情を確かめながら、差し入れた指で中を探り刺激してくる。

 ジェイクは意識して大きく呼吸を繰り返しながら、枕を抱きしめながら、そのある種異様な感覚を受け止めようとした。

 苦痛ではないがはっきりとした快感でもない。けれども一方で、自分がひどく高揚していると自覚してもいた。それが単に性器に近い粘膜を刺激されていることへの生理的な反応なのか、どこか奥深いところにある禁忌に触れるせいなのか、あるいは、ブラッドリーがはっきりと興奮しているのが伝わるせいなのかは、彼には判断がつかなかったけれども、一方で、未知の感覚に対する好奇心も確かにある。

「びびるなよ。試してみたかったんじゃないの?」

「っ、べつに、」

 挑発するような言葉に反応したのは、逆に緊張がほどけるきっかけになったのかもしれなかった。

 ジェイクの反応に小さく笑ったブラッドリーの指はふいにばらばらに動いて、その感触に彼は息をのんだ。

「このへん?」

「、や、」

「逃げるなよ。怖くない」

「っ、」

 怖がってると思われるのは嫌だ。そんな意地はもちろん、今のジェイクにはあまり意味のないことだった。

 背中にのしかかるようにして体を重ねたブラッドリーは、枕に半分埋まった顔を間近にのぞき込み、小さな震えまで直に感じ取っていた。

 少し前まで舌で可愛がってはち切れそうになっていた勃起は今は勢いをなくしかけていたけれども、一方で首筋から上が真っ赤に染まった横顔は、彼の違う種類の興奮を物語っていたし、ひどく美しく見えた。

 ブラッドリーは慎重に指で中を探り、やがてかすかな凹凸が感じられる場所を探り当てた。

「!」

「大丈夫だから力抜け」

 突然震えた体がとっさに逃げを打とうとするのをやんわりと押さえつけて、ブラッドリーは静かにそう言いながら、一方で容赦なくそこを指先で繰り返し刺激した。

「んん、」

 しなやかな体がわかりやすく跳ねるような反応を返してくるのを文字通り全身で感じて、ブラッドリーは自分が感じている興奮にめまいがしそうになった。触れてもいないペニスが、ジェイクの硬い腿の裏側に当たっていた。

「あ、あ、やっ、だ」

 一方で必死にかぶりを振るジェイクは、きつく閉じた目を閉じていたけれども、動き続ける指を飲み込んだ場所は震え、両脚がどうしようもないのだと言いたげに動いて、ブラッドリーはぶつかった勃起を思わずそこにこすりつけた。

「いいから、このままいっとけ」

 そして彼はそんなふうに言って、歯を食いしばるようにして堪えようとしているジェイクのこめかみにキスを落とし、空いた手を前に伸ばした。

 のぞき込むと、いったんは緊張に萎えかけていたものは、突然訪れた暴力的な刺激に反り返って先走りを滴らせていたが、そのままではどうしようもないのだと訴えてくるようだった。

 ブラッドリーは一瞬、しばらくこのまま初めての感覚に戸惑って震えているジェイクを観察したいような誘惑に駆られたけれども、行動を起こしたのはジェイクの方が早かった。

「あ!」

 彼が自分の手で反り返ったペニスを両手で握り、あからさまに扱きたてると、あっという間に噴き出したものが指の間から滴ったのが見えた。

 それでもブラッドリーには十分な時間だった。

 どうしようもない衝動に駆られて自らを扱きたて、きつく眉を寄せ、体を丸めて全身で震え、体の奥に入り込んだままの自分の指を食い締めるようにして果てたジェイクを間近に「見る」には。

 そして強烈な余韻に全身を震わせて目を閉じた表情を間近に観察するにも。


「……よかった?」

 少しだけ待ってから、ブラッドリーは聞くまでもないと思いながら、荒い息をついたまま目を開こうとしないジェイクにそう問うた。

「めっちゃくちゃ気持ちよかった、って言えよ」

 ブラッドリーがそう繰り返すと、ジェイクはようやく、どこかぼんやりとした目で彼を見上げてきて囁くような声で言った。

「……わけわかんなくなった」

 さすがにこんな時は素直なのか。そう、どこか面白く思いながらブラッドリーはその言葉を聞き、それからそこに差し入れられたままになっていた指を思い出させるようにうごめかせた。

「!」

 息をのんだジェイクの背中に改めて体を寄せ、硬くなったままの勃起を彼の腰のあたりに押し付けると、ブラッドリーは囁いた。

「俺はまだなんだけど」

「……どうしろって?」

 ちらりと視線だけ振り返ったジェイクの問いかけに先に答えたのは、そこをちらりとかすめた彼の指先のほうだった。

「「ここ」がいい、ってわかっただろ? これ入れたらもっといい、はず」

「はず、ってなんだよ」


『初めてのやつとしたことないから』

 ブラッドリーが以前そう言ったのを、ジェイクは改めて思い出した。

 彼に初めて触れたのは、ゲイ向けのバーのバスルームでだった。

 パーティーを抜け出して一人で向かった彼のあとを追いかけたのはちょっとした好奇心で、その後の展開は思いがけないものだった。

 でもあの晩ジェイクが一緒に店に入り、彼の前で酔っぱらってしまわなければ、ブラッドリーはきっとあの店にいた「誰か」と一夜を共にしていたに違いないのだ。おそらくは、もっとずっと「手馴れた」誰かと。

「……怪我はしたくない、って言ったよな」

 ジェイクがねだるように中を探ってくる指を強烈に意識しながらそう返すと、ブラッドリーはほっとしたように笑って言った。

「わかってる。ムリそうなら止めるから」



「、っ、う」

 ブラッドリーのペニスがようやく全部収まったころには、彼が持ち込んだローションはほとんど空になっていたし、ふたりとも汗だくになっていた。

 枕にしがみついたままのジェイクの眉間にはずっとしわが寄ったままだったし、ブラッドリーも途中で何度も諦めかけたのだ。

 おまえのでかすぎだろ、ほんとに入るのかよ。

 おまえが力み過ぎなんだろ、抜けって。

 下手くそが偉そうに言うな。

 ほとんど罵り合いのような言葉が飛び交ったし、実際のところお互いにただムキになっていたのかもしれなかった。

 けれども、実際規格外のサイズではあるルースターの、いちばん太いところが入り口を過ぎてからは、ジェイクはふいに静かになった。

「……はいった」

 ブラッドリーが言うと、ジェイクは目を閉じたままただ頷いて返した。

 聞こえてくるのはただ荒い呼吸だけだ。横を向いて枕を抱えたジェイクにぴたりと体を重ねたブラッドリーは、強烈な締め付けに眉を寄せながら彼の顔をのぞき込もうとした。

「や」

「大丈夫か?」

 視線は枕に遮られ、仕方なく問いかけたブラッドリーの言葉には、くぐもった声が答えた。

「だいじょうぶ、か、なんて、わかんない」

 わかんないってことはないだろうよ。

 ブラッドリーはそう呆れて返しそうになったが、その声の思いがけない子供っぽい響きに驚いてもいた。

「痛くはない?」

 そう問いかけると頷きはするが、続いた言葉は思いがけないものだった。

「……けど、いっぱいで、くるしい。でかすぎだバカ」

 枕の影から見えるのは眉と耳先くらいのものだった。そこが強くしかめられているのと同時に真っ赤に染まっているのが見えて、ブラッドリーはむしろ興奮している自分に困惑しながら、彼の腰に手を伸ばして撫でた。

「じっとしてる方がしんどいから、動くぞ。頼むから力抜いて」

「そんなの」

「おまえならできるよ」

 優秀だろ。

 そう耳元で囁いたのと、彼が慎重に動き始めたのは同時で、ジェイクは息をのみ、とっさに自分の腰を撫でている大きな手を掴んだ。

「っ、あ、」

 じりじりと抜き差しを始めたブラッドリーの動きにつれて、ほとんど反射的に出ているような音がジェイクの喉からこぼれて聞こえて、ブラッドリーは自分を懸命に抑えようとした。

 そして彼は腰に添えていた手を前に伸ばして、ジェイクのペニスを包み込んだ。

「?」

「気がまぎれるだろ」

 萎えたそれを柔らかく包んで扱くと、引きはがそうとするようにジェイクの手が重なってきたが、実際のところろくに力は入っていなかった。

 緊張に強張っていたジェイクの身体は、重い圧迫感と裏腹な、ストレートな快感に混乱しているようだった。枕を放してしまったジェイクはかぶりを振り、短い声を上げ続けていたけれども、ブラッドリーは次第に自由に動けるようになった。

 相変わらず狭い場所をゆっくりと引き、戻すのを繰り返しながら、手の中のものがしだいに芯を取り戻していくのをじっくり観察するのも、ブラッドリーには奇妙な経験だった。

 すでに二回果てているとはいえ、まだ余裕はあるはずだ。次第に指に力を籠め、腰の動きを大胆なものにしていき、そして。

「あ、っ!」

 ふいに腕の中の体が大きく震えたのを直に感じて、ブラッドリーはちらりと笑って言った。

「「ここ」な」

 体の中をいっぱいにされて、そこで動く強烈な熱に息もできなくなっていたジェイクは、大きな手で前をまさぐられるのとは違う快感に襲われて息をのんだ。

 それは確かについさっき覚えさせられたばかりのものだったけれども、同時にその熱も深さもまるで違うものだった。

「っ、やめ」

 とっさに逃げようとした体を、ブラッドリーは両手でつなぎとめて耳元で言った。

「大丈夫。もう一回「わけわかんなく」なるだけだ」

 そして彼はずっとこらえていた自分を許して、思うさま動きだした。

「あっ!」

「うー、おまえんなか、きつい」

 ジェイクは神経に直接触れられるような快感に混乱して逃げようとしたが、ブラッドリーに背中から抱きしめられていて身動きもとれなかった。

「……熱い。すげえいい」

 語り掛けているというより思わず出た、といった様子の声が耳元で聞こえて、ジェイクはただかぶりを振った。口を開いた瞬間にどうしようもない声がもれそうな気がして恐ろしかったからだ。

 硬い体が背中で動いていて、同じ動きで熱いものが体の奥を掻き回している。一方で大きな手が、いつの間にかすっかり勢いを取り戻した勃起を扱き上げている。

 ナカでというよりは、異様な事態にまず脳が沸騰している気がして、ジェイクは太い腕にしがみつくほかに何もできなかった。

 ブラッドリーはもうはっきりと射精に至るための、ジェイク自身にも覚えのある動きを始めていた。

 そして最後には彼の耳元で唸るような声を上げて果て、ジェイクもそれに引きずられるようにして彼の手の中に放ったのだった。



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