top of page
検索


20230301 「メリーゴーランド」ラスアス エリー
動く階段も、馬やきれいな馬車がぐるぐる回りながら光る遊具も。 あたしは見たことないって思ってるでしょ? そうだよね、車に乗ったのもこの間が初めてだったんだから。 でも本当は知ってる。 写真を撮ってくれる箱も、たくさんのゲーム機が並んでる店もね。 でも別に懐かしくはない。...
2023年3月1日


20230228 「ステーキ」
「これ、差し入れ」 そう言って差し出されたのは、ルームサービスで使われるようなふたが乗せられた皿だった。 受け取るとそれはまだ温かく、ふたを取るとふんわりと上がった湯気はとてもいい匂いがした。たぶんハーブとか、複雑な味付けがしてあるんだろうとわかる。...
2023年2月28日


20230226「最低の男」
彼は傲慢な男だった。 世界は自分の思い通りになると思っていた。 でもしかたない。実際とても優秀で、最高に魅力的だったから。 そして僕のことを、彼は自分の思い通りにならなかったから気に入っていたんだと思う。 僕はそれでよかった。...
2023年2月25日


20230225 「リード・マイ・リップス」ダンポル
どうしてそんなことができるの? 初めて見たとき、まだ子供だった僕はそう聞いた。 その日、父は大勢の兵士の前で演説をすることになっていた。どうしても見たいとねだったら、ダンカンは窓から前庭が見える部屋に連れて行ってくれた。...
2023年2月25日


20230224「氷の宮殿」ダンポル
フォロイーさまのお誕生日に。 できてるダンポル。たぶんどこか、氷の星に遊びに行ったんだと思います。 僕は口が利けなかった。 ダンカンがものすごくボリュームのあるマフラーを、僕の首にぐるぐる巻きつけてしまったからだ。 彼の匂いがする暖かい感触が、首どころから顔の下半分を覆って...
2023年2月24日


20230223「家」TOG
「あの家にそっくりだ」 それはたまたまテレビで流れていた映画かなにかの一場面だった。 そう驚いた顔で言ったニッキーはちょうどシャワーから出てきたところで、たまたま目に入ったんだろう。実際に番組を見ていたのはナイルとアンディーで、僕も新聞を読んでいたんだけれど、彼の、はっと胸...
2023年2月23日


20230222 Your Place, or Mine 4/Tom
4/Tom 2週間の宿について、僕は『お金はないから安いところで。贅沢は言わない』、って強調した。 『夏休みの間なら大学の寮が借りられるんじゃないか?』 『友達がルームメイト探してるから、短期でもいいか聞いてみようか?』 ジャックからはいろいろ考えてくれたっぽい返事が来た。...
2023年2月22日


20230221 Your Place, or Mine 3/Jack
3/Jack 久しぶりにきたトムからの連絡は、俺を驚かせた。 『夏にそっちに2週間くらい滞在したいんだ。部屋を借りるのにどの辺がいいのか、さっぱり見当がつかないからもしアドバイスがあれば』 「そっち、って、エジンバラに来るってことか?」...
2023年2月21日


20230220 Your Place, or Mine 2/Tom
2/Tom エジンバラでお待ちしています。 合格通知を見て、僕はちょっと飛び上がりそうになった。 マーク・ライランスが少人数での短期セミナーをやる。そう聞いただけでものすごく興奮した。 そのあと「場所はエジンバラ」ということがわかって仲間の多くががっかりしてたけど、僕にとっ...
2023年2月19日


20230219 Your Place, or Mine 1/Jack
1/Jack 「OK。じゃあ、この案でいきましょう」 待っていた台詞を聞いて、俺は内心でガッツポーズを決めながらも、すましたまま隣に座っているアンドリューの顔を見た。 彼はにっこりと頷いて見せて言った。もちろん俺にじゃなく、クライアントに返してだ。...
2023年2月19日


20230218「手紙」「距離」2#RHドロライ
(昨日の続きです) 2 帰ってみたら、リビングの一角に大きなコルクボードが用意されていた。 「珍しく用意周到だな」 思わずそう言ったらブラッドリーは笑った。 「だってなんか嬉しくてさ。ほら、出せよ。持って帰ってきたんだろ?」 半年余り離れて暮らした。...
2023年2月18日


20230217「手紙」「距離」#RHドロライ
「手紙?」 あまりにも驚いて変な声が出てたかもしれない。いや、だって。 でもジェイクはちらっと笑って眉をあげて見せた。お得意の表情だ。 「いや、全然ハガキでいいけど」 いや、手紙かハガキか、とかそういう問題じゃなくて。 「……物理で?」...
2023年2月17日


20230216 I'm Sorry
ラスアスE5 人生は失うことの連続だ。 こんな世界になってからはなおさら、得るものの方が少なく、なにかを持ち続け、誰かと共にい続けることはものすごく難しい。 I'm sorry. あの子が使っていた筆談のための小さなボードに、エリーが最後に書いたのはそんな一言だった。...
2023年2月16日


20230215 「相棒」
「よし出かけよう」 そう言うと、もうずっと待ちきれない様子でドアの前にいたおまえはくるりと回って見せる。 そして俺がドアを開けたとたんに駆け出していく。 秋の森は湿気て静かに少しずつ腐っていく木の葉の匂いに満ちている。 俺の鼻に感じ取れるのは、乾いた枝と砂利の匂いと、木立を...
2023年2月15日


20230214「花瓶」#RH
バレンタインデーに ことあるごとに花を贈るっていうのは、自分では記憶になくても、キャロルがよく話してくれてた親父の「素敵なところ」のひとつだった。 だから俺は、やっぱり少し憧れていたのかもしれない。 ステディな相手なんてずっといなかったからなおさら、贈る相手がいるってことが...
2023年2月14日


20230113 「Marks」00Q
真珠のピアスに連なってる話なので再録(2017年発行TATTOOより)(2017年1月) R18です いつも彼の任務のナビを終え、後始末まで済ませてからくたくたで帰宅しても、しばらくは寝つけない。ぎりぎりの緊張感に張りつめた神経は緩め方をなかなか思い出してくれないし、落ち着...
2023年2月13日


20230212 「真珠のピアス」00Q
(最近のウィショさんの写真にやられて書きました) 『それじゃあ元気で。もう二度と会うことはないでしょうけど、この真珠は記念にもらっていきます』 彼はそう言って、羽織ったトレンチコートの裾をふわりとひらめかせて背を向けた。...
2023年2月12日


20230211「カフェラテ」アイニル
これもアンケートのあれ 任務の合間だった。僕らは打ち合わせのためにカフェに入った。 そこまではまあ、初めてのことってわけじゃなかったんだ。けど。 「ラテ2つ」 アイヴスは、やってきたウェイトレスに当たり前の顔でそう言った。 僕は驚いてちらっと彼を見てしまった。...
2023年2月11日


20230210「シャルドネ」2 #RH
初めて彼の部屋に行った日、なにごとにつけても完璧主義者の俺の恋人は特別な夕食を用意しておいてくれた。 俺はべつにデリバリーのピザと缶ビールでも全然よかったんだけど、彼はステーキの焼き加減にもこだわりがあるタイプだ。俺が来るからってわざわざ専門店からいい肉を取り寄せてくれてい...
2023年2月10日


20230209「シャルドネ」1 #RH
アンケート構ってくださってありがとうございました。 「いらっしゃい。早かったな」 ドアを開けて出迎えると、ブラッドリーがそこに立っていた。 予定してたことで、途中で何度も(珍しくまめに)テキストが送られてきていたから、驚きはない。はずだ。でもやっぱり、なんだかすごく不思議な...
2023年2月9日
bottom of page

